最下位ペンタブの導入
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自慢じゃありませんが、私はこれまで常にワーキングプアでした。
自宅にある唯一の文明の利器と言えばパソコンです。
これにペンタブを導入する事を決意しました。
パソコンの販売員になるずっと前のことですから、何の知識もありません。
家電量販店に「絵描きコーナー」っぽいもんがあって、オススメされているものがあれば描けるのだろうくらいに考えていたのは事実です。
しつこいようですが、知識もなければお金もないので、『Bamboo』という、当時の最下位モデルであり、一番安いペンタブを購入してみました。
線を引いて瞬間に愕然とします。
滑らかな線を引きたいだけなのに、ペンを走らせるとカクつくのです。
ただ線を引くだけですよ?
筆圧感知レベルが低い時代の製品ですから、特に安価モデルでは「かなりゆっくり」描かないと思ったように描けませんでした。
「なにがバンブーじゃ! 竹ペンの方がよっぽど使いやすいわ!」
正直な感想です。
かといって、当時の上位クラスである『intuos』を買う気にはなりませんでした。
金額以前に、はっきりとした理由があります。
ペンタブに移行したばかりの人には「あるある」なのですが…
自分のペン先がどこにあるのかわからないYO!
という状態に陥るのは確実です。
本当に分からないのです。
言うなれば、マウスポインタを常に見失っている状態ですよ。
竹は進化しています
今にして思えば、配置も良くありませんでした。
原始的にPCモニターの近くにペンタブを持っていき、周辺視野で手元のペンの動きを確認しながら脳内同期をさせれば良かったのですが…それは今だから言えることです。
ってか、そこまでしないと使えないインターフェースなんて、ユーザビリティを真っ向から無視していますよね。
当時の私は全く分からず、頭を抱えていました。
Bambooシリーズの上位モデルに変えたところで、この壁を乗り越えられない以上、アナログと同じようには描けませんので、意義を見出せませんでした。
で、また、そんな人用に液晶ペンタブレットも売っているのがニクイところです。
売っていましたとも、ええ。
『Bamboo』の10倍くらいの値段で12.1インチモデルがね…。
当然ですが、パソコンをもう一台買えるお金などありません。
ここから地獄の試行錯誤が始まります。
※現在のBambooシリーズはintuosシリーズに代わられた良質モデルです。
筆圧感知レベルも大幅に向上しているので使いやすくなっています。
近年、買われた方はご安心してお使い下さい。
謎の修行
ゆっくり描けば良いのは腕でカバーする。
ってか、意地でも慣れる!
問題は、どうやれば手元のペン先がどこにあるのかを把握できるようになるか。
単に自分の能力が足りないだけなのか?
だとすれば、どの能力を鍛えれば良いのか?
画面と手元を往復する速度を速めれば良いのかもしれません。
上下の視点移動を早くするとか。
ボクサーは素早い視点移動が常人よりも優れていると聞いたことがありました。
そうか。
<視点移動の早い人だけが、ペンタブでデジ絵を描ける選ばれし者なのか>
ボクサーだ。
ボクサーになれ、俺!
A点からB点への視野移動を早めるため、部屋に幾つもの点を並べました。
謎の修行に明け暮れます。
しかし、どんなに頑張っても一向にペンタブを使えるようにはなりません。
ボクサーどころか、一昔前の宇宙飛行士並みに正確な視点変更を体得しつつあるのに。
「なんか違う」
絵描きが皆して、こんな修行を行っているとは思えません。
そもそも、あんまりペンタブに触っていません。
己のおバカに気付くまで、けっこうな年月を要しました。
ペンタブ使用に必要なのは肉体改造?
ペンタブは設定で、画面の絶対比を決めることができます。
「PC画面の右端はペンタブの右端」となり、左端も同様にペンタブでも左端なのです。
ということは…。
そもそも視点を移動させるのではなく、手元を見ないで描けるようになれば良いのでは!?
逆転の発想でした。
ふっ…。
古今東西、偉人と呼ばれる人は必ず、この逆転の発想から偉大な発明の着想を得ているじゃありませんか。
ついに私も仲間入りですよ。
そうです。
「暗闇でも物体の位置を把握できる心眼を得る」
これさえ出来れば、ペンタブなんぞなんぼのもんじゃい。
さあ、レッツ瞑想。
とか始めたら、完全に迷走しているわけですが、さすがにそこは学びました。
瞑想だけに…なんつって。
一応、断言しておきますね。
<絵描きは謎の修行で肉体改造しなくて良い>
ペンタブに細かい傷を付けてみる
さて、どうせ使えないペンタブです。
捨てる覚悟をして、カッターで表面に細かい点を並べ、傷(しるし)をつけていきました。
その傷の大小や、右端からの数を身体に覚えこませてしまえば、点字を判別して読めるように、ペン先の位置を把握できるのではないか。
そう思い、さっそく挑戦してみました。
ところが、ここで先の修行が仇となります。
手元を見る速度が上がっていただけに、どうしても見てしまいます。
一瞬で、視点変更されます。
しかも傷つけてしまった分、線を引く時にいちいち傷にぶつかってしまい、描けたもんじゃありませんでした。
「違う、これも違う。おまけに何が違っているのかも分からない」
使えなくなってしまったペンタブを捨てて、アナログに戻ろうよ。
内なる誘惑と戦いながら、日々が過ぎていきました。
まともに描けるようになるまで、まだまだ長い道のりがありました。
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